GFX用シフトレンズ「フジノンレンズ GF30mmF5.6 T/S・GF110mmF5.6 T/S Macro」レビュー【プロによる作例もあり】
富士フイルムレンズ

GFX用シフトレンズ「フジノンレンズ GF30mmF5.6 T/S・GF110mmF5.6 T/S Macro」レビュー【プロによる作例もあり】

エイペックスレンタルズ編集部

富士フイルムのGFXシリーズで使用可能なシフトレンズをご紹介します。
Gマウントレンズとしてラインアップされているのは2024年8月時点で2種。

ティルト・シフト機構のあるレンズでミラーレス機に対応したものは珍しく、フルサイズ向けレンズではTTArtisanやLAOWAといったサードパーティメーカーが販売しているのはあるものの、富士フイルムが自社レンズとして出してきたというところで、非常に導入しやすいのではないでしょうか。

シフトレンズとは?

シフトレンズというのは、アオリ撮影ができる特殊なレンズのことで、ホディを動かすことなくレンズのみを上下にシフト(位置を移動)したり、ティルト(傾けたり)することができるレンズです。レンズについているノブを回して、レンズを動かすことができます。

以前も書いたことのあるトピックなので、ぜひこちらの記事も合わせてご参照ください。

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シフトレンズを使うことでどんな画が撮れるのかというと、私が今回使用した「フジノンレンズ GF30mmF5.6 T/S」は広角を活かしたレンズなので、建築物や物撮りで使う場合が主かと思います。35mm換算で約24mm程度となるので、超高層ビルなどの撮影ではもう少し広さが欲しいとは思いました。

建物を仰視して撮ると写真左のように上のほうがすぼまったような写真になります。対して、写真右は、ティルト角度をつけて建物をまっすぐなるように撮影しました。このように同じ位置で撮影してもレンズの鏡筒をずらして撮れるのがシフトレンズのメリットです。

撮り方が悪いのはあしからず……。

逆ティルト

レンズを傾ける度合いによって、全体にピントがあうシャープな画を撮ることも可能です。
F値を変えずにピントがあう範囲を調整しながら撮影します。他のレンズでもF値を上げることで全体にピントが合うように撮ることは可能ですが、F値を上げすぎると被写体の輪郭がややぼやけてしまう回析現象が発生してしまいます。

シフトレンズであれば絞り過ぎる必要がなく、開放でもティルト角度を調整しながら良いピント位置を見つけて撮ることが可能です。

他にも、高い位置からの撮影であれば、このようにあえて手前にピントをずらしてミニチュアっぽい雰囲気(逆ティルト)で撮るという方法もあります。

お客様にお使いいただきました

ここからはお客様によるレビューのご紹介です。

フジノンレンズ GF110mmF5.6 T/S Macro」は中望遠110mm(35mm換算 約87mm相当)のGマウント専用シフトレンズ。最大撮影倍率0.5倍の中望遠マクロレンズとしても機能するので、商品撮影や静止画の撮影に向いているレンズです。

今回、当社のお客様であるフォトグラファーの東郷憲志 様にこのレンズをご使用いただくという貴重な機会がございました。

東郷憲志 様プロフィールサイト
https://1050photo.jp

実際に現場で使用された内容をまとめていただきました。

この撮影では、複数の菩薩像と天使の顔のディティールを主役としてしっかりと見せるために、
レンズのあおり機能を使ってピントを合わせている。(被写体の歪みをおさえるための若干シフト機能も使用)

同じアングルで120mmを使って撮影した写真は、当然だが複数の顔にピントの芯が来ることはない。
絞りを深くすれば当然全体的にピントが合うが、F16よりも絞り値が大きくなると、回折現象が顕著に見られ、せっかくの中判センサーやレンズの描写力が発揮できない。

ピント位置を少しずつ動かしてフォーカススタッキングすれば全体の高精細な写真を得ることも出来るが、撮影現場や後工程での作業が増えてしまい、効率的ではない。
表現としても、全体にピントが合うと、全体を詳細に見せることは出来るが、菩薩像と天使が主役であるという点が弱くなってしまう。

これらを解決できるあおり機能は、これまではマウントアダプターを使って純正以外のレンズを使うしかなく、何かの要素をトレードオフすることになってしまい、常にストレスを抱えてしまっていた。

それが、純正レンズであおりが使えることによって、決して目新しい機能ではないのだが、
やっとインフラが整った環境で仕事ができる感覚があり、とても快適に感じた。
(引越し直後に、散々待たされた後、ようやくwifiが開通した感覚、といえば伝わるだろうか)

また、長年撮影現場に関わってきたディレクターやデザイナーの方々には、なじみのあるレンズのあおり機能だが、特に若手の方々やなじみの無い方にとっては、ギアがついて前玉が動くレンズを使って撮影している事自体に喜んでもらえるようで、いいパフォーマンスにもなりそうだ。

他のGマウントレンズよりもやや高額であり、全ての撮影で必要なわけではないため、お手頃なレンタル代でこのレンズが使用できることは非常にありがたく、今後最もレンタル頻度の高い機材になりそうだ。

使用カメラ GFX 50R
使用レンズ フジノンレンズ GF110mmF5.6 T/S Macro、フジノンレンズ GF120mmF4 R LM OIS WR Macro
現像ソフト CaptureOne
フィルムシュミレーション ネガハイコントラスト 

北齊白石雕雙菩薩像
size: H 43.5cm (含座)

協力 ガベル様(https://gavel-auction.jp/

いつもレンタルをご愛顧いただいているフォトグラファーの東郷憲志 様からのレビューでございました。プロならではの貴重な着眼点、Gマウント用レンズならではの高精細な写り。そしてレンタルで得られるというメリットもご紹介いただきました。誠にありがとうございました。

このように弊社ブログでは、お客様から頂いたレビューを記事にさせていただき、同じ機材をご検討されている方へのフォローアップができれば幸いです。

APEX RENTALSでは、富士フイルムGFXシリーズに限らず、Xシリーズも多数取り揃えております。一度使ってみたかった機種・レンズなどなど、短い期間でのレンタルも可能です。
ぜひご検討ください。

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